質問です。
いままで自分が尊敬していた人を卒業することについて。
今までの先生はみな共通点あります。
出会った当初はとても大きい存在だった人が小さく見えたとき、
どのように気持ちを整理したらいいのか、すこしわかりません。
いずみさんの考えをおききしてみたいです。
両親を卒業することと(精神的に)関係あるような気がしてます。
子供のころ、とっても大好きだった父さん母さんが
自分が大人になるにつれ
(まして今自分がどんな人間にないたいのか確立していく中で)
両親が小さくみえたり、
こんな人だったのか〜と新たな一面を発見して、落胆したり。
なにか思い浮かぶことがあったらおしえてほしいです。
……………………………………………………
はい。
Yさんご質問をありがとうございます。
全くその通りなんです。
これは思春期からの課題の一つだと思います。
すごく大きな存在だった、尊敬していた人が、
実は欠点のある普通の人の側面を持っていて、落胆する。
な〜んだ、そうだったのか…
これを、心理学では「投影の引き戻し」と言います。
これが出来る・体験する、という事がとても大きなステップなんです。
幼児期から子供時代にかけては、両親は神様のような存在でした。
大げさかもしれませんが、小さくて無力な子供にとって、
身近な大人である両親は、お手本であり守護者であり一種の神様なんです。
その両親の守りの中で、子供はだんだん成長してゆきます。
ところが思春期になり、オリジナルの自分を創り出してゆく時期に、
わかってくるんです。
両親はつねに正しいわけではないし、
世界で一番強いのでもない。
両親にも苦手や短所や欠点があり、年もとるんだ、
という事がリアルに見えてきます。
それに気づくことは、両親から自立してゆく原動力の一つです。
「師」と呼べる人に出会い、教えを受けたい
思春期を過ぎて、たとえば専門分野で「先生」とか「師」と呼べる人に出会う時、
その人は自分よりも能力は勿論上ですし、
非常に素晴らしい人だ、と思えることがあります。
逆に言うと「師」と呼べる人に出会い、教えを受けたい、という欲求が生まれたりします。
その先生に特別にかわいがられて、まだ自分でも気づいていない能力を開花させたい…
ま、妄想の一種ですが、こういう気持ちは多くの人に共通すると思います。
理想的なすばらしい指導者を求める気持ちがあって、
目の前に現れた「先生」を、そういう人だと思いこんでしまう。
そういう時には、自分の理想像を通して相手を見ているので、
本当の生身の相手を見ているわけではないんです。
相手の欠点が見えだして、その先生も普通の人なのだ、
と気づき始めた時、その先生のリアルな姿を見始めているんです。
投影を引き戻すこと
一つポイントは、Yさんの理想の指導者は、この世に存在しない
という事です。
理想像を投影できる相手は現れるけれど、
それはいつか必ず、投影だった、リアルな相手を見ていたわけではない、
という事に気づくんです。
その時に、「いや、そんなはずはない、その人は理想的な指導者なのだ」
と思い続けると、その人の信者になってゆきます。
自分の感覚や理性を麻痺させて、その人に一生ついてゆくようになります。
宗教です。
あるいは、私の理想の師匠はこの人ではなかった。
どこかに私を導いてくれる素晴らしい指導者がいるはずだ、
と、理想の人を追い求め続ける人もいます。
さすらい人のように。
が、あなたの理想の指導者は、この世に存在しません。
たぶん。
もう一つの道は、相手に投影していた理想像を引き戻して、
リアルな現実の相手との関係を、新たに作り直すことです。
その人と「本当に出会う」道です。
私はこれをおすすめします。
これは、すべての人が必ず体験することなんです。
理想的なすばらしい人だ、と思う時期。
な〜んだ、普通の人なんだわ、と落胆する時期。
そしてリアルなその人と、どうつきあってゆくのかを調整してゆく時期。
それは人との関係が深くなって行く時に、必ず起きることなんです。
特に恋愛では
そして、特に恋愛でそれが起きます。
出会った時には盲目になって、相手が理想的な王子様に見えたりする。
しばらくすると、あれ? この人って、こういう人だったの??
と思い始めて、ケンカしたりし始める。
そうやって、理想ではなくてリアルな相手をどんな風に自分の中に納めてゆくか、
というのが人間関係の一つのステップですね。
それを超えて、人と人とは「本当に出会う」んです。
恋愛の時期はよかったけど、結婚してみたら別人になったとか、だまされたとか言うのは、
リアルな相手が見え始めて、妄想・理想像が崩れてきたっていう意味なんです。
この時、相手は私が思っていたような人ではなかった、
という理由で分かれる事もあるでしょう。
特に男性に多いのですが、光源氏のように理想像を一生追い求める人もいます。
理想的な王子様ではないけれど、自分自身も理想的なお姫様ではない事にも気づき、
投影を引き戻して、リアルな相手とつきあい始めるカップルもあるでしょう。
考えてもみてください。
相手が自分を理想的なお姫様だと強く信じていて、
その相手を引き留めて起きたいために、理想的なお姫様を演じ続けるのは…
辛いですよね。
どこかでやりきれなくなると思います。
相手にとって都合のいい理想的な女性ではなく、
ありのままの、素の自分を認めて受け入れて欲しい、と思う時が来るでしょう。
どのように気持ちを整理したらいいのか
一つは時間が解決するでしょう。
そしてもう一度書きますが、「理想的な完璧な指導者も完璧な彼氏もいません」
リアルなその人を受け入れるしかないんです。
なので、投影を引き戻した後の、リアルな普通の相手を受け入れて、
関係を作ってゆく、というのが課題であり答えです。
それには時間が見方をしてくれると思います。
でね、もう一つおまけです。
小さく見えて落胆した人の、すばらしい面がまたリアルに見える時があります。
両親に対しても、先生と呼ぶ人に対しても、
きっとそういう事が起きますよ。
お楽しみに。
|