| まゆみんの50回以上のお見合い遍歴 13 思いばかりが |
さてそれから彼はまた遊びに来た。
その次は、「ボウリングに行こう」と誘いに来た。
その次は、「映画に行こう」
母親のいない家で、兄弟は兄だけという彼は、トランポリンサークルに入ったころ
小太りな身体だったが、トランポリンとボウリングで次第に痩せてきて、背は高く
ないけれど普通体形のかっこいい男になっていった。
「どうして私だったの?」
「さあ。お母さんみたいな感じがしたんとちゃう」
サークルの中で、面倒見がいい私にお母さんを重ねたんだろうか。
彼が強硬手段に出て、いっときは仲よくなったような時間はあったけれど、
日常の中で、彼がどうしたいのかわからないままだった。
本格的につきあうのは、彼も初めてだったらしい。
お互いのことが聞きたくても、何をどう聞いたらいいのかわからない。
そんなことは、聞かなくてもわかるんじゃないの?という誰かの言葉が私には
そんなことは、聞くもんじゃないのよ、という暗黙の圧力をかけていた。
意識しすぎて頭でいっぱい考えている割に、実際さしてしゃべらない私。
彼がしゃべりかけても話は広がらない。
ふたりの間には、仲間内で話すよりももっとたくさんの「話さない時間」が増えて
いった。
そんな非生産的な時間を積み上げるうちに、彼は離れていくだろうと思った。
そして、それでもいいと正当化する自分がいた。覚悟はしていたが、彼が来なくな
ってから日にちが経っていくのが悲しかった。そして、悲しいのもまた私にとって
は当然だった。
「また話があるんだけど、そろそろどうだ?
いまわからん状態なら、他の人と会うのも見直す機会になるで」
今ちょっと気になる人がいて、ということでお見合いの話は止めてもらっていたが、
父からの電話でふと我に帰る。そうだね。。。。。。彼とのことがどうなっている
のかよくわからないけれど、目先を変えてみるのもいいかな。。。
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好いてくれるのは嬉しかったし、彼がいい男になるのも自分ごとのようで嬉しかっ
た。
その先が見えなかったのは、私が未来を作る方法を知らなかったからだ。
不器用な人間でいることが、美徳のように考えていた。
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