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 まゆみんの、50回以上のお見合い遍歴   186 時には怒り出す女

  

「それより、おなかが空きましたね」
ベッドに誘いたがる社長に、困った顔をするよりは不機嫌な顔を見せて困らせ、話を違うほうへ持っていくのだ。意識を転換させるのだ。
ほんとは、おなかなど空いていないけど。

「ああ、そうですね、お弁当にしますか、食べに行きますか?
 お弁当もおいしいんですよ。こんなメニューで」
「うーん。外に行きたいんですけど、いいですか?」
男性好みのこってりメニューが多いので。それと、社長のテリトリーから離れたほうが逃れやすそうだったし。

車で向かったのはお洒落なレストラン…ではなく、ファミレスじゃなかったかな?
「ほんとはもっといいとこへ連れて行ってあげたいんだけど、近場はこんなとこしかないんで」
「いえ、充分ですよ」
とにかく私はベッドの話から離れて、お食事をいただいてニコニコだった。単純なやつ〜。

食事をしながら私は仕事の話をしたかったけど、社長は「食事のときくらい、仕事の話はやめましょうよ」という。
私は仕事をしに来たのにな… まあ、ここは譲っておこうか。しかし、仕事の話とか武将が好きだって話はいつする?

私は焦っていた。
社長の話を聞いて対応していると、時間はどんどん過ぎてしまう。
もうすぐ2時になる。
4時の飛行機に乗るつもりなのに。

「ちょっと、ドライブしませんか」
「いえ、私は仕事の話を」
「急がなくてもいいじゃないですか」

うながされて車に乗るとまた昔の女性と社長の話。
こんなとき、どう考えます?そういわれても、当事者じゃないし…そうですね、私だったら…
…なんて、答えている場合ではない。

ちょっと黙る。

「ちょっと待って。会社に行っても、お宅へ行っても、食事のあとも、そっちの話ばっかりで、私と仕事の話をする気なんて、無いんじゃありませんか?車を止めてください」
「?はあ」車が止まる。
「帰ります!」
ドアを開けて、持ってきた荷物を出して、私は歩き始めた。
頭は高速回転で動いている。前のめりで早足になる。
社長はのろのろ車でついてしゃべりかけてくるけど、知ったこっちゃない。

・普段の私を知っている人たちの中なら、私の信用にかかわるからこんなことはしないけど、「大阪から来たデザイナーが途中でぶち切れて帰った」というのなら、社長のメンツも立つだろう。
・セミナーでコミュニケーションのコース(CT2)も受けた私だからナントカなるだろう。
 どこかで人に出会えば、事情を話してみよう。お金が無くて、今日帰りたいという話を。

ところが、右も左も畑や田んぼである。どういうわけか、人が見当たらない。
見知らぬ土地なので、土地勘も無く、私のPHS携帯は圏外になっている。タクシーを呼ぶこともできない。
このままこの道を行くと、山に入ってしまうかも。

方向転換。

少し前から後方で車を停めていた社長が見える。ずんずん歩いていく私。
この際、腹を立てている相手に頼むのは悔しいが、これも当然といえば当然してもらうべきことかも。
運転席に向かって「出てきてください」
出てきた社長に「2万円ください。帰りたいんですが、帰りの分のお金が無いんです」
「そしてこのまま空港まで送ってください」

実に理屈の通らない話だ。(^ロ^A;)
しかし、怒りを抑えつつ不機嫌な顔でそういう私に、社長は2万円を渡し、私を車に乗せて空港まで向かった。
(おお、本当に空港に連れてきてくれたよ。
 これがCT2の効果か!自分に相手を巻き込むっていう…)
別れ際も腹が立っていることを見せなくてはと考えていたので、お礼を言うわけにはいかなかった。

帰りの飛行機で今回の心理的冒険を省みながら、まあ、こんな、わけわからず勝手に怒ってしまうような女性を相手にする気になならないよな〜、へへへ。と考えていた。

社長からの連絡は、その後無かった。
やっぱり、私と仕事したいわけじゃなくて、色事が目当てだったのか?

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突然ぶちきれる様子は、「-184 私は危ないオンナ?」の友人をまねてみたのだ。
その場に応じて思いつくままに動けたから、一人で行ってよかった。

今なら違う方法も取れたけどね〜。





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