| まゆみんの50回以上のお見合い遍歴 49 珊瑚の男-6 トランクス |
しかし。「帰ろうか」というのは、私を送ってくれることではなくて、彼のうちのこ
とだったのか。
そんなことをぶつぶつ考えながら、はっきりと口には出せなかった。
「服のまま寝るわけにいかないでしょ」というと、彼のランニングとトランクスを出
してくれた。
男物のトランクス …
そういう格好をしたことがない私はしばし躊躇した。
気を取り直してそのトランクスを下着の上に身に付け、勧めてくれるままベッドに横
になった。ダブルサイズのベッドに2人で横になったけど、彼は微妙に触れない距離
に寝ている。
私は、帰ろうといって向かった先が彼のうちだったこと、
彼のトランクスを自分がはいているという、何となく取り込まれた感じ、
車の中でコトに及んだこと、ベッドの中で全くかまってくれないこと、
結婚したら交わりなんて日常になるんだろうな、とか
それらのことが何のことなのか答えが出ないことを、まどろみの中でグルグル考えて
しまい眠れなかった。
何だか悲しかった。なので少しでも彼に触れていようと手を伸ばしたら、背を向けら
れた。仕方ないのでこちらも背を向けて背中で触れていたけど、これも離れてしまっ
た。
ちぇ。
朝の別れ際、「今度はいつ?」とこちらから切りだしてみた。
「しばらく用事が多いのですぐには時間が取れない。ごめんなさい。連絡するから」
男の人が「ごめんなさい」というのは、見かけは男性的なこの人が言うからだろうか、
とても可愛らしく感じる。
彼が時間が取れないというなら、その間に以前から考えていた公募展にだす絵を描く
ことにした。絵を描きながら他のことをウロウロ考えているわけにいかないので、会
えない時間にはちょうどいい。
仕事の合間にボードを購入し、下絵を決めて、さあ取りかかろうとした時期に彼から
手紙が来た。思いも寄らない内容が書かれていた。
−−−ごめんなさい。あなたとはもう会いません。あなたが悪いのではないんです。
こちらのほうが悪いのです。ごめんなさい。−−−
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わざわざ手紙をくれるのは誠意がある、というのか。
あんなことをしておいて、といえばいいのか。
いや、とりあえず何が起こっているのか。
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